芸人失格 - 松野大介

かつて「お前は天才だ、~以来の天才だ」とその世界の一人者にいわれ、期待に答えねばとさらに努力し技を磨いた。技術は上がり、自信もついてきた。そんなある日、人懐っこいがとりえみたいな男と一緒に仕事をするようになる。一緒に仕事をするからには二人でもっと技を磨かねばと練習に精を出す。

芸人失格

芸人失格

 

 ところがだ。二人でせっかく練習したのに、その練習の成果が埃ほどの軽さになってしまうほど、実は、彼は圧倒的な存在だったのだ。この本はそんな圧倒的な太陽の彼の炎の熱で、身を焦がした男の話。

 

彼のいた芸能界に限らず、後ろから物凄い速さで自分の真横を追い抜いて行く存在はどこにでもいる。普通なら「あいつスゲー、俺には無理だ・・」と、同じ世界でやっていく自信を無くして、ほかの道へ進むなどする。しかし、もし、そのスゲーやつと紐で結ばれてしまっていたらどうだろうか。ぐんぐんと加速するスゲー奴に引きずられ、皮はめくれ、血まみれになって転がり続けるしかない。

やっと切り離されたその時には、すでにボロボロだ。

 

ABブラザーズ松野の執念の作品だ。